本日、第54回おたのしみ会クレマチスを開催いたしました。今回は、大阪芸術大学客員教授で考古学者・印学家の久米雅雄様に「日本のはんこの歴史と将来―大阪会議・はんこ編―というテーマで講演をしていただきました。
新型コロナウイルスの感染拡大により、書類にはんこを押すためにだけ出社するなど在宅勤務の弊害として取り上げられることが増えました。
しかし、日本におけるはんこの歴史は、西暦57年の「漢委奴国王印」に始まり、飛鳥・奈良時代には「天皇御璽」を頂点とする日本独自の印章が登場、平安時代以降、「花押」に変容しますが、サインでは本人同一性の確証が難しいという理由で「花押の印章化」が進み、これが信長・秀吉などの戦国大名の印章へとつながっていきました。そして、江戸時代以降、武家だけでなく庶民層にも「印判」使用が普及し、明治6年「印鑑登録制度」が布告され今日に至ります。日本人の叡知と努力で根付いたはんこ文化はこれからも継承されていくべきで、デジタル化が進む世の中だからこそ署名と捺印はとても重要であるとおっしゃいました。
印章史という難しいテーマでしたが、印章もいくつかご持参いただき、非常にわかりやすくお話しいただきました。酷暑も一段落し、さわやかな天気のもと多くのお客様にご来店いただきました。